第3章 ドキドキする手と安心する手…
大倉side
美容室に着くまでは
なんだか不安げにしていたかめちゃんも
いざ席につくと
覚悟を決めたように唇をぎゅっと噛みしめ
鏡に映る自分の姿を睨み付ける…(笑)
髪にハサミを入れる度に
ビクビクしながらも
少しずつ変わっていく自分の髪を見て
キラキラと目を輝かせるかめちゃんに
改めて女の子なんやなぁなんて
思い知らされる…(笑)
かめちゃん「大倉さん…
私の髪が…ふわふわしてる……(笑)」
2時間後髪を切り終わり
俺の前に立ったかめちゃんは
肩までの長さの髪に
ふわふわの柔らかいパーマが揺れる
新しい髪型を気に入ってくれたようで…
「うん…めっちゃ可愛いし…
似合ってるやんか(笑)?」
そう言った俺に
嬉しそうに笑顔を見せる……(笑)
可愛いよ…似合ってるよ…
そんな俺の言葉はきっと
たった一言安が
"可愛いなぁ"と言えば
忘れられてしまうような
意味を持たない言葉で…
嬉しそうに笑うその笑顔は
俺に向けられたものではなくて
安に向けられたものなんや…
そう思うと
なぜだか
胸の奥の方がチクリと
鈍い痛みを感じた…。