第3章 帰国した姉
朝食後、俺と歩結夢は後から帰ってきた黒月を連れて空港に向かった。しかし……。
「なぁ……予定の時間過ぎてないか?」
メールの送り主は空港に十時に着くと書いていたが、実際、三十分オーバーしているのだ。
「秀馬、本当に今日帰ってくるって書いてあったのか?」
黒月がそう聞いてくるから、俺はもう一度メールを確認しようとした。すると、前方から聞きなれた声が聞こえた。
「今日帰ってくるってしっかり書いたわよ」
前を見ると、白衣を着た俺と同じくらいの歳の少女がスーツケースを引いて俺の目の前に止まった。
「ごめんなさいね。混んでたから許してもらえないかしら」
「お前なぁ……迎えに来てやったこっちの身にもなれよ」
「だからこうして謝ってるじゃないの」
「あぁ?」
歩結夢が少女に突っかかろうとしたのを黒月が止めた。
「やめろ歩結夢。すまないな、帰ってきてそうそう喧嘩させてしまって」
「いいのよ。実際私が悪いんだし……そういえば、瑠璃はいないの?」
「瑠璃はバイトがあって昼過ぎに帰ってくるけど」
「そっかぁ……まだ会えないかぁ……」
「まぁここで話すのもあれだし、家に戻るか。歩結夢、車頼む」
「……わかった」
少し不機嫌そうに歩結夢は答えた。俺達は空港を後にし、車に乗って家に帰った。
「いやー一ヶ月ぶりの我が家だぁ」
「なぁ……このスーツケース、少しばかり重くないか?」
俺はスーツケースを家の中に運びながら聞いた。
「だって研究道具があるんだもん。仕方ないでしょ」
「研究道具ねぇ……薬しか作ってないのにこの重さはどうかと」
「あとは私が運ぶわ。ありがとう」
そう言って少女はスーツケースを持って階段を上り、自室に入っていった。
「またうるさくなるな」
黒月は椅子に座ってため息をついた。
「そうだな……とくにあいつは瑠璃の事になると何をしでかすか……」
そう言って時計を見ると、午後十二時を回っていた。
俺は今家にいる奴らの昼食を作り始めることにした。
昼食を食べ終わり、片付けをしていたら午後一時半を過ぎていた。やることもなく、リビングでテレビを見ていると、玄関の扉が開かれた。
「ただいまぁ」
声の主は瑠璃だった。
「おかえり瑠璃。そういや、お前に会いたがってる人がいるぞ」
「んー?誰?」