ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第9章 社交界の華
「君も彼女のことを大事に育てて、側に置いているのだろう?
“ブラッディ・ローズ”としても、“ブラッディ・ドール”としても…」
「“それ”がなんだ?」
リヒ様の声は低く明らかな苛立ちを含んでいた。
「“それ”が僕の慈善事業となんの差があるのかな?
伯爵、僕は君の事を評価しているんだよ。尊敬と言ってもいい。
16年間しっかりと育てて、こんなにも可愛らしい女の子になってる。
ローズとしてもドールとしても申し分ない。
僕もそんな風に人間を育てたいと思っていたんだよ。」
「……マキアがお前の理想か?」
リヒ様は眉間にシワを寄せて苛立っている。
「エロイーズから聞いたよ。マキアちゃんは彼女の媚薬を破ったそうだね。
すごい事だよ!あの呪術師の媚薬を人間が破るなんて…。どんな風に育てたんだい?」
ハートランド様は興味津々といった様子で、マキアをまじまじと眺めた。
マキアはつま先から頭の上まで見つめられて、なんだか居心地が悪かった。
「さぁ…。特別な教育をした覚えはないよ。」
「そっか…。秘訣があるなら是非とも教えてもらいたかったんだけど、マキアちゃんじゃなきゃダメなら…」
ハートランド様と目が合った…と思ったら彼の目が静かに光った。
「マキアちゃんが欲しいな…」