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名の無い関係

第12章 王覧試合


結局、あのあと一度もリヴァイとちゃんと話しをすること無く今日が来てしまった。
闘技場へと足を進めるリヴァイに、皆が心配で視線を向けていた。


『なっ!』


アゲハは頭を抱えてしまう。
リヴァイは敬礼の前に、真っ直ぐにアゲハを指差したのだ。
はたから見ればそれは、控え室から闘技場へ続く通路の真上、王族の観覧席を指差した様にも見えなくはない。
実際、大半の観客達はそう思ったのだろう。リヴァイのその行動に拍手喝采だ。


「あはは〜!やるね、リヴァイ!」


自分よりも観客達の心を掴むリヴァイに、相手の兵士は穏やかではない様子。この試合は荒れそうだと誰もが思った。
しかし、始まって数秒で決着がついた。


「…な、なにしやがったあのチビ。」


盛り上がり歓声があがっていた会場が、驚きに包まれて静まり返った。


『…あちゃぁ。』


思い切り殴りかかってきた相手を躱し一撃、リヴァイは軽く入れただけだ。
それは対人格闘技というよりも、暗殺術に近いものだ。
打ち所が悪ければ、いや、正確に狙えば人を一撃で再起不能に出来る。
確かに反則技ではないが、正規兵が使用する様なものでもない。


「俺の勝ち、だろ?」


呆然とする審判に確認しろと言ったリヴァイ。
言われるままに倒れた兵士に駆け寄った審判は、「調査兵団、リヴァイ!」と勝利の宣言をした。


「最強の兵士だってさ!」

「確かにあの強さはレベルが違うな!」


一気に歓声が戻り、これをきっかけにリヴァイの名はどんどん知られていった。調査兵団にはとんでもない兵士がいる、と。


「エルヴィン、お前には驚かされる。地下街で拾ったってのがアイツだろ?」

「あぁ、リヴァイだ。」


自分の部下が呆気なくやられたと言うのに、ここまで圧倒的だと悔しさもないなとナイルは笑う。


「お前には強者を惹きつける力でもあるのか?」

「どうだろうな。」


第一戦が終了し、勝ち進んだ兵達8名による第二戦が明日から行われる。


「調査兵団からは三人か。」

「あー、でもさ…。」


憲兵団から三人、駐屯兵団から二人が残っている。
明日のトーナメント表を見ていたハンジが笑顔を引きつらせている。


「まずくない、これ。明日のリヴァイの相手はアゲハだよ。」


その言葉に、エルヴィンとミケも言葉を失ってしまった。
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