第12章 王覧試合
王覧試合初日。
各兵団から選抜された5名がトーナメント式に戦う第1戦。
試合の結果次第では、同じ兵団の仲間同士が戦うこともある。
だが、最初の1戦目は見事にそれぞれがバラけた。
「ほう、アゲハはシードを取ったのか。」
「その様です。アイツは運良くここまで来たような奴ですからね。」
一般の観覧席の最後列。
各兵団のお偉方が観戦していた。
その丁度真下あたりに兵士の控え室があった。
シードを得たアゲハは今日は試合がないため、控え室に来てはいたが他の兵達のサポート役になっていた。
試合は闘技場で行われる為、立体起動は使用できない。
対人格闘術が中心となる。
『まぁ大丈夫!普段通りにやればいい。例え負けたとしても、ここに選ばれた事に誇りを持っていいんだからね!』
当初は優勝から上位を調査兵団の兵で独占して、「調査兵団スゲー!カッコイイ!入りたい!」と思わせて他兵団から移籍者いっぱい計画だ、なんて盛り上がったが、結局のところ、自分が参加したいと思っていたアゲハ以外は入団から一年の新兵から選抜した。
「殺さない程度にボコればいいんだろ、簡単じゃねぇか。」
『リヴァイ、一応反則はあるからね。そこは気を付けてね。』
ガチガチに緊張する他三名を前に、二人はいつもと変わらない。
試合開始の合図がなり、観客達の声援で場の雰囲気も最高潮に盛り上がる。
試合は順調に進み、第三試合までが終わった。
ここで本日の午前の競技が終了した。
対人格闘術なんて訓練兵時代に教わるだけで、調査兵団の訓練メニューには含まれていない。
結果、調査兵団の最初の選抜兵は憲兵団からの選抜兵にあっさり投げられてしまった。
軽く昼食をとり、午後の試合が始まったが結果は午前同様。
勝ち進んだのは僅か一人。
あとは最終試合のリヴァイの結果だけとなる。
「しかし大丈夫だろうか。リヴァイは敬礼するのか。」
ミケのボソッと零した一言に、エルヴィンとハンジは乾いた笑いを浮かべた。
本日最後の試合となります!と会場にアナウンスが流れた。
観客達の注目度も高い。
リヴァイの相手は昨年度憲兵団に主席入団した男。
体格もよく、二人が並ぶと完全にリヴァイが不利に見える。
『試合開始前の敬礼、ただのパフォーマンスだから、ね!』
「言っただろ、お前に捧げてやるって。」