• テキストサイズ

名の無い関係

第11章 誰のもの


今日は王覧試合に出場させる兵を呼んで簡単な説明をする予定だった。けれど選ぶべき五人を未だ決めかねる。
個人的に興味があるから自分も出場したいとは思っている。
だからあとは四人。
対巨人戦ならすぐに決められるのに、とアゲハは欠伸をしながら廊下を歩いてきた。


「おい。」

『あー、おはよぅ〜。』


三角巾をまだ頭に巻いたままのリヴァイと、彼とほぼ同期の兵達が朝の掃除をしていた。
頑張ってね、と声をかけてそのまま通ってしまおうと思ったが、そうはさせてもらえなかった。
壁に穴が開いたのではないかと思う程の蹴りが飛んできて、リヴァイの足で行く手を塞がれた。


「それだけか?あぁん?」


まるでチンピラに絡まれてるみたいだ。
何か言う事が他にもあんだろ?とわざと斜め下から睨みつけてくるリヴァイに、わかった、わかった、とアゲハは降参のポーズをとった。


『掃除が済んだら執務室に来て。』

「了解だ。」


すっと足を下ろしたリヴァイは、何もなかったかの様に掃除を再開する。
まったく、これではどちらが上司なのか。
アゲハの姿が見えなくなると、他の兵達は少し興奮した口調でリヴァイに話しかける。


「アゲハさんにあんなことして許されるなんて、やっぱスゲーよ!」

「やっぱ実力派は違うよな!」


話よりも手を動かせ!とイライラしながら言ったリヴァイに、他の連中は腹を立てることなく素直に従っていた。
そんな様子をこっそり見ていたアゲハは嬉しそうに笑う。
初めはあんなに厄介者にされていたのに、すっかりリヴァイも調査兵団の一員として馴染めている。
ミケはリヴァイはすぐに他の兵達から信頼されるようになると確信していると言っていたが、本当にそうなる日も近そうだ。
そう思うとやはり、今回の選抜に彼を入れたいと思ってしまう。
きっと彼は調査兵団の中だけではなく、巨人と戦うという人類の避けられない未来に欠かせない人物になっていくだろう。


『私とリヴァイ、あとは誰がいいか…。』


ハンジも出たいと言っていたが、あまり階級の高い兵を出すのは如何なものか。
調査兵団には優秀な兵がいないととらえられてしまわないだろうか。
/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp