第2章 「出待ち」
出待ち仲間と笑談する人。
ひたすらスマホをいじる人。
誰かと連絡を取り合う人。
いろんな人がいた。
そんな中、私はずっと立って楽屋口を見つめていた。
ただの通行人が「出待ち?」なんて言いながら、こっちを見て笑って通り過ぎる。
「はぁ、、早く出てこないかな」
スマホをいじりながら待つのはなんだか失礼な気がして、でもだからといって何をしたらいいか分からなかった。
だから下を向き、ずっとなにを話すか考えていた。
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ひたすらずっと立っていたから分からなかったけど、どうやら待ち始めて一時間が経ったらしい。
少し、、、だけど、悪意でもあるかのように降り続ける雨が辛い。
お気に入りのヒールも、この日のために買った勝負服も、綺麗に整えた髪の毛も、すべて湿ってしまった。
「こんなんで会いたくないよ」
寂しさと不安と苦しさで気持ち悪くなってくる。
「帰りたい、、、」
けどそんな心の叫びも虚しく、それは本当に突然やってきた。
楽屋口近くに立っていたファンが「あっ」と小さく声をあげる。
すると、まるで獲物を見つけた鷹のように、ファンが一斉に楽屋口を見つめる。
「いつきくんだ、、、、、」
グレーのコートに身を包み、マスクをつけている甲賀 一樹が、マネージャーさんと思われる人と一緒に出てきた。