第2章 「出待ち」
「あっ、、、どうしよう、、、こんにちは、、」
「こんにちは、って、風邪引いちゃう、、、!」
屋根から少し体が出ていた私に差し出される、あの人の傘。
「だ、大丈夫です!ごめんなさい!!」
「そうですか、?」
周りのファンの目もあって、私はとっさに断ってしまった。
「、、あ、あの!」
「ん?」
「舞台、本当に良かったです、、私、普段は泣かないんですけど号泣しちゃいました。優太役、すごく可愛かったです!」
「あ、嬉しいです〜!」
満面の笑みで目を見てくれるいつきくん。
こんな幸せなことはないよ、、、、
そう思っていたのに、
「席近かったんですか?」
まさか、話しかけてくれるなんて思わなかった。
傘を差し出してくれ、満面の笑みを向けてくれ、話しかけてくれるいつきくんに、頭がフリーズしそうだった。
「前の方ではなかったです」
「そうなんですねー!」
ボーッとする頭をたたき起こして、言おうとしていたことを言わなければ。
「あ、、えっと、これ、カイロなんですけど、、、手紙とプレゼントはフロントへ預けておきました」
「わぁ、プレゼントなんて大丈夫なのに、、、ありがとうございます!」
カイロについているメッセージカードをチラッと見るいつきくん。
「さっき見ましたよ!」
「、、?」
、、さっき見ました?
まさか。
私の手紙が分かるわけない。
「あ、、受け取ったと思います!」
「、、あ、良かったです、良ければ読んでください」
「見た」から「受け取った」に言い直したいつきくん。
なぜ言い直したのか分からないが、受け取ってもらえたことが嬉しくてあまり気にならなかった。
「Twitterからいつも元気、もらってます!」
「ありがとうございます〜!僕もリプとかで元気、もらってますよ!」
「わぁ、そうなんですか!じゃあ、たくさん送ります!」
「はい!待ってます!」
「じゃあ、、、ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました!、、あっ、風邪引かないでくださいね」
「はい!」
最後にニコッと笑顔を向けてくれるいつきくん。
離れたくないが、私は全てを頭に焼き付けながら駅へと足を運んだ。