第15章 夜は静かに過ぎて行く
「____あとは、まぁ......」
そこまで話すと、私は少し言葉を濁した
縁下も察して、それ以上聞いてこなかった
そして、ただ一言"辛かったね"と言葉をかけてくれる
私は力なく"うん...."と答えることしかできなかった
すると、今度は縁下が語り始めた
縁下「俺...さ、恥ずかしい話、一年の時一回逃げたことがあったろ、あの時、本当にまおには感謝してるんだ...」
そう言って、どこか苦しそうに、でも懐かしそうに話す縁下
「__何で....?」
縁下「同じクラスで、話を聞いてくれたり、アドバイスくれたりさ、呆れないでちゃんと向き合ってくれたっていうか....」
そう言う縁下は何処か悲しそうだ
縁下「勿論、俺自身が甘えてたってこともある。けど、やっぱり......」
「そんなことないよ」
私は縁下の言葉を遮って続けた
「あれはサボってたと言うより、"新しい自分"を見つけるために必要だったと思う。だから、責めることないよ。それに、今は戻ってるし!」
私はそこまで言って、"私だって、今逃げてるし....."と小さく呟いた
すると、縁下が"でも、"と口を開く
縁下「今は、まおがしたいことを全力でやれば、誰も責めないと思うよ。少なくとも、俺は応援するから」
そう言って縁下は微笑んだ
「うん....そうだね....ありがと.....」
私は少し涙をこらえながら答えた
縁下「よっし、それじゃあそろそろ寝よっか」
「だね、明日も練習だし」
2人共、何処かスッキリしたような様子で部屋に戻る
そして眠りについた