第5章 GIRLS
「恋歌、応援してくれる?」
そう、めぐちゃんに聞かれ、否と答える理由なんてありません。めぐちゃんはわたしの数少ない友人で、私と雪ノ下先輩は特別な関係でもなんでもありません。
「うん」
だから、そう答えました。
「昨日ね、部活終わる時にね…」
そういえば、雪ノ下先輩は男子バレー部、めぐちゃんはそのマネージャー、愛菜さんは女子バレー部。
彼女達には共通の話題があるんですね。
私は部活には所属しておらず、放課後は大体図書室に入り浸っています。家に帰るのが嫌だからです。
ささやかな私なりの反抗期でしょうか。親からかけられる言葉がプレッシャーにしかならなくて、つらくて、元気に遊んでいるまだ小学生の妹が妬ましくて、そんな自分が嫌になるんです。親と話したくない、ささやかな抵抗だと解釈しています。
「で、椿先輩すっごく優しくてね…」
雪ノ下先輩のことを嬉しそうに語るめぐちゃんを眺めながら、適当に相槌を打ちます。
友達と話していて、楽しいはずなのに、何故か落ち着かない。
何故でしょうか、私にはわかりませんでした。
昼休みの終わりまで、あと三分。
この時間が終わるまで、あと少し。
そんなことを考えてしまう私がひどく嫌に思えました。