第3章 2人の距離3
素直に頷いた。
「…俺さ。これでも我慢してんのよ。」
それを言われてちょっとわかっていた気がした。
ワザとそういう雰囲気にさせない様に抱きしめて寝る時もどうでもない話をしたりして。
それを聞いてますます申し訳なくなりすみませんと謝った。
「なんで謝んのよ。…俺が好きにやってることなんだからさ、まぁでも。流石に少し進展させてみる?」
そう言って優しく見つめるニノさんに戸惑った。
動揺している私をフッと笑い頬に片手を沿わせて少し顔を上向きにさせられた。
そしてそっと触れるだけのキスが降ってきた。
一気に体温が上がるのがわかる。
多分今顔が少し赤い
また私を見つめフッと吐息混じり笑うニノさん。
眉毛が少し垂れ下がり困った顔をしていた。
「ごめん。由梨。…今はまだこういうのいらないよな」
ちょっと悲しそうにそう言うので首を横に振った
ニノさんは私の中にまだ少しヒロトがいることを分かっているのかもしれない。
あんなに好きだった人だ。
簡単に忘れられない。
それに今はもういないけれど私の中にはヒロトの子供がいた。
それは紛れも無い事実であって私には簡単に次の恋愛をしようと明るく振る舞えるほど消化しきれていなかった。
「ニノさんは、…なんでも分かっちゃって。それが怖いです。」
私がそう言うとフッと笑った
「でも、一つだけ違うことがありますよ。」
そう言ってニノさんの唇を指でなぞった。
「…キス。しても良いんですよ?私、それくらいでニノさんのこと嫌いになれません」
実際本心だった。
ニノさんのことは嫌いになれない。
ずっと思っていた。
私はニノさんと出会ってから少しずつニノさんに心の隙間を埋めて貰っている。
今はもうニノさんでいっぱいになりつつある。
もう今更嫌いになんてなれない。
唇をなぞっていた指をそっと握られた。
「…そうだな。そしたらキスくらい。貰っちゃいましょーか。」
ちょっとふざけて言うニノさんにフフッと笑いながらはい。と答えた
その後また私に軽くキスして立ち上がり寝巻きから私服に着替え仕事に行く準備をはじめた。
上半身だけ起こしてニノさんに謝る
「すみません。全然身体休めてないですね。」
え?といい頭をぽりぽりしているニノさん