第2章 2人の距離2
はぁぁぁ。やってしまった。
産婦人科のベッドに横たわり天井を見つめ溜息を吐く。
あの時の連休とはいえ数日しか休みはなく、それ以外ほとんど出ずっぱりだった。
それでも妊娠が分かってからは身体に気を使っていたし、周りの皆さんのサポートのお陰であまり苦にも思っていなかった。
それでも起こってしまったこの状態。
今日の昼ヘアメイク中にアソコに違和感があった。
ん?おりもの?
そう思っていたが違っていて。
合間にトイレに行ったら大量の血液だった。
サァァと一気に血の気が引く。
それでもこの仕事は急に穴を開けることは出来ないので夜仕事が終わると産婦人科に駆け込んだ。
そして今は検査待ち。
貧血もあるのか視界がグラつく。
多分涙も混じってこんなにクラクラするんだなと思った。
お腹も少し張っていて苦しい。
大切な命を守ろうと必死に撫でても良くはならない。
そんな時ガラッと病室のドアが開いた。
「由梨!!」
走ってきたのか息を切らしている楓さん。
私からの連絡を見て飛んできたらしい
そして私の顔を見て泣き出した。
「バカッ!だから言ったのに!」
多分あまり働きすぎるなと言った忠告を守らなかった私に言っている。
私も同じ事を思っていてさらに涙が出た。
そして。
辛い宣告を受けた。
「…流産。ですか。」
呆然と先生を見るしかなかった。
「正確には流産しかかっているというところです。しかし、神崎さんの場合には赤ちゃんが小さ過ぎます。このまま妊娠を続けていても産まれても赤ちゃんは外で生きていくことは出来ないです。」
「神崎さん。あなた。DVを受けていましたか?」
先生がそう言った瞬間ヒロトがフラッシュバックして身体が震えた
それを見て一緒にいた楓さんが抱きしめる
私が答えられないでいると先生の隣にいた助産師さんがそっと隣に来て手を握ってくれた
「貴女の背中見えたの。ごめんなさいね。辛いこと思い出させてしまって。」
声が出なくて首を横に振ると先生が優しい声で話を続けた
「貴女の話だと仕事ではストレスは感じていないだろうし、それにこれだけ赤ちゃんが小さいのは妊娠初期から受けていたストレスだと思います。もし、本当にDVを受けているのなら赤ちゃんの今の状態も納得できるのだけれど」
先生は眉毛を八の字にしていう