第1章 2人の距離
それでも伝えなければ。
今は大丈夫な事をニノさんにはどうしても伝えておきたかった。
撮影も順調に進み休憩時間に入るとニノさん以外の全員は喫煙所に向かったり、他の取材を受けに行ったりした。
今しかチャンスはないと思い、思い切って話しかけた。
「あの!ニノさん。」
私がそこまで言うといつものようにん〜?と力の抜けた返事をするニノさん。
「私。別れたんです。」
そう言うとえっ?とゲームから視線を外し私を見た。
「だから。もう大丈夫です。ちゃんと決心つきました。」
今まで本当にありがとうございます。と頭を下げるとニノさんは頭をぽりぽり掻きながら
「あー…そっか。ほんと。うん。良かった」
安心したと笑顔で言ってくれたので私も嬉しくなった。
それから程なくして私はまた人生の転機を迎える事になる。