第1章 2人の距離
「そうだなー。色々ね?…前髪が跳ねてたから自分の前髪に羽ピン付けててそれ忘れてそのまま帰ろうとするとか?」
確かに。そんなことあった。その時はニノさんにフフッと笑われてそれ。付けて帰るの?と羽ピンを取ってもらった事があった。
「あとはなー。海外ロケでホテル初めて行った時スーツケースから下着がはみ出てた」
笑いながら言うニノさんに申し訳ないのと恥ずかしいのでいっぱいになった。
「…すみません。お見苦しいところを見せてしまって」
反省していると別に良いよ。と軽く返事した。
というかこれはふんわり系と言うのか?
ただのバカなんじゃ…
「あー。あの時勝手に部屋入ったのは俺だし悪かったと思ってる。気にするなって言っても無理かもしれないけど気にしてないから。」
ニノさんはできるだけ安心させるようにかニコッと笑った。
「…どんなやつでした?」
私がそう言うとはい?と素っ頓狂な声を出した。
いや!せめては!見られてしまうくらいなら可愛いものを…
ロケに持って行った下着を思い返してみる。
よれよれじゃなかったよね?
それなりを抑えたやつのはずだ。
「それって。…重要?」
困ったように言うニノさんに食い入るように言った。
「はい!かなり重要です!」
私の返事に白黒させてえーとっと記憶を探るような顔をした。
そんな時に私はニノさんの顔を見つめながらせめて!あの下着であって欲しい!と息を止めて念じた。
「えーと。…確か、ブルーだった様な。」
終わった。
終わってしまった。
何故。私は何故ブルーの下着を持って行ってしまったのだろう。
よりにもよって1番楽で曲がったワイヤーまで抜いてペラペラになった下着を。
はぁぁぁ。と大きい溜息をついて落ち込んでいるとニノさんが慌てていた。
「えっ?なんかごめん。何色が良かったの?……いや、違うか。そもそも見られたくないよな。」
そういうニノさんに笑ってあげる力も出ないほど脱力した。
「いや、本当に見苦しかったですね。すみません。」
少し立ち直り深々と頭を下げると
「いやいや!俺謝られる事されてないから!寧ろごめんな。」
と2人して謝り合っていた。