第3章 延長、お願いします。
それはつい昨日のこと。俺は芹奈をご飯に誘った。大事な大事な目的を果たすために。
「あれ?相葉くん、ひとり?」
「あ~…ごめんっ。なんかさ、みんな忙しいみたいで…」
「そうだよねぇ」
「あれ。ひょっとして俺とじゃ不満だった?」
「とんでもない!そんなことないよ~」
「ホントに~?」
「ホントホント!(笑)」
俺、別に嘘ついた訳じゃない。ただ…今日ははじめっから他には誰も誘ってないってだけ。いつもは、何人かで行くから。二人だけってのは初めてなんだよね、実は。
「そっか~…。みんな忙しそうだもんね。やっぱり売れっ子は大変だよね~…」
「そうなんだよね~。…って。俺も一応仲間に入れてよっ?」
「あはははっ。大丈夫。ちゃんと入ってるよ」
「ホントにィ~?」
「ホントに!入ってるってばっ(笑)」
うん。俺と芹奈はこんなカンジ。結構くだけた関係かも。フツーに、何でもできるっていうか。一緒にいてもすげーラクなんだよね。俺らのことも特別扱いとか全然しないし。いい意味で、お互いフツーなの。
で、二人っきりだけど、そんなにいつもと変わらず美味しく楽しくゴハンを食べて。そのまま二軒目、ちょっと小洒落たバーにお連れしまして。
「わ~、素敵なお店~」
「そうでしょう、そうでしょう」
「ん~…。相葉くんには似合わない…」
「そうでしょう、そうで…。なんだって?」
「んふふふっ」
そういう店だとさ、大爆笑って感じじゃないんだよ。それなりに、ちょっとしっとりした空気になるんですよ。楽しい話しててもさ、微笑み程度っていうか。オトナな笑い方っていうかさ?
で、俺なりに盛り上げて、ためてためて、そんでいい雰囲気かな~って時に、『今だ!』って。発射したの。ついにっ。
「あの、さ」
「うん」
「俺、さ。実は、芹奈に、話があったんだよ、ね」
「ん。なに?」
「俺…。俺さ」
「?」
…うん。まあ、いわゆる告白ってヤツを、しまして。んで、アッサリと。フラれちゃいまして。