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【A】涙そうそう(気象系)

第13章 酸欠ワールド



「芹奈」
「ん?」
「今日…ありがとね。忙しいのに、こんな時間まで付き合ってくれて」
「…ううん。私も、楽しかった」
「うん。俺も。チョー楽しかった」
「あと、その…。ホントに、その…」
「…」
「…ごめんなさ―」
「あ~、ううんっ。こっちこそ、ゴメンね?なんか、ムダに煩わせちゃって」
「そんな…」
「じゃっ、俺こっちだから。行くわ。家まで送ってけなくてゴメンね?」
「ううんっ」
「…じゃ」
「あっ。相葉くんっ」
「うん?」
「…ありがとう。」
「…」


芹奈…




「いーえ、こちらこそ?」

少しおどけたら、芹奈も笑顔を見せてくれた。

「今日はごちそうさまでした」
「いえいえ。ま―…」

『またね』って。つい言いそうになって。でも、飲み込んだ。さすがにちょっと間をおかないと無理だろ、って。そこまで俺のメンタル強くねえから。

でも

「…まっ。うん。気ぃつけて!」
「うん。相葉くんも」
「おやすみ!」


芹奈

…ありがとう。俺の想い、ちゃんと受け止めてくれて。こっちこそ、ホントに『ありがとう』、だよ。ちゃんと本気でこたえてくれて、ありがとう。その涙が、俺、ホント嬉しかったよ。好きんなってよかったって。俺、間違ってなかったな~って。ホントに思った。ホントに、俺、芹奈のこと…。

タクシーの中からペコリとお辞儀してる芹奈。黙ったまま手を振って、俺はもう一度帽子をグッと深く被りなおした。


「…さて、と」

俺も帰りますか。誰もいない淋しい我が家へ。バッチリ掃除してピカッピカにしてきた、自分の巣へ。

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