第13章 酸欠ワールド
「は~ぁ…」
終わっちゃったな…。
なんか、“祭りのあと”って感じ。見事に燃え尽きた。ハンパなく、今、灰の気分。でもまだちょっと、興奮冷めない、みたいな…。
でも、大丈夫だよ。芹奈のことちゃんと応援できるように、俺、すぐフツーに戻るから。熱、下げるから。アレだよね。ほら。体温計?ブンブン振ったら温度がすい~って下がってけばいいのに。
「…っしゃあっ!」
なんかむちゃくちゃなことしたくなって、久々に思いっきり、全速力で走ってみた。人目も気にしないで。
「はっ、ハッ…。うわ、ダメだ、むしろ、熱い…っ!!」
下がるわけないのは、わかってた。しかも酒飲んだ直後にコレは…本気でマズった。あっという間に息があがって、頭クラックラする。汗も心臓も肺も、すげーことに…。
「はぁっ、はあ…っ!……あ。ヤバ。立ちくらみ…」
壁によっかかりながら、必死に息を整えた。
バカだな~って。自分で思う。でもさ、ホントに恋したら…バカになるよね。体温計みたいに、そんなすぐ下がるわけないんだよ。やっぱそう簡単なもんじゃないよ。好きって気持ちはさ。
…うん。諦めるって決めたって、そう簡単に消えてなくなるもんじゃないんだよね。不思議。もともと、目には見えないものなのに。