第10章 悪あがき
「相葉くん?」
「…あのさ」
「うん」
お酒が入ってたせいかな。やっぱ酔ってたんだよ。俺、相当飲んでたもん。
「俺、ホントに諦めるからさ。芹奈のこと」
「…ん…」
それか、ちょっと調子乗っちゃってたのかも。ホント楽しくて。芹奈だって楽しそうだしさ。俺、なんか抑えが…。ちょっとブレーキ甘くなってたんだな、これ。さっきの涙で一回ヤラレたし?そもそもその前にゴメンって言われてヤラレてるし?
それに…
「最後にさ、イッコだけ…お願い、きいてくれる?」
「…うん。なぁに?」
友達としてだろうけど、『スキ』とか、言ってくれたし?
「あのさ」
「うん」
…それが決定打かな。それだな。きっと。
「1回だけで、いいんだけど、さ」
「うん」
「…」
「?」
そうだよ。だってもし『俺のことなんてキライ』って言ってくれてたら、そしたら
「チュー、させて」
…さすがに、こんなこと言わなかったと思う。こんなバカなこと。いくら酔ってても。