第10章 悪あがき
芹奈もさ、俺のこと大好きなんだよ。さっき本人も言ってたけど。ホントに。
え?いやいや。うぬぼれじゃなく。ね?うん。もともと仲はいいの。それに、二人飲み初めてなのに、ホントにすげぇ楽しいもん。…フラレた後だって言うのにだよ?相当じゃない?一緒にいてラクっていうか。空気?酸素?もうね、居心地がいいんだよね。なんか。相当気が合ってると思うんだよ、俺たちって。
…うん。俺、結構上位だと思う。コッチのジャンルではダントツじゃない?それはね、自信ある。いや、たぶんそうだって。ねえ?
「…うん?」
「うううん、なんでもない」
「?」
や、聞かないけどさ。そこハッキリ肯定されたら、逆に落ち込むでしょ。さすがに今はキビシイでしょ、それは。だってそれって、こっちでダントツってことはつまり、恋愛ジャンルにガチで入れなかったってことでしょ?そっちのレースは完全アウェイっていうか。ベンチどころか応援席っていうか…。ズバリ、そういうことじゃん!?
…わかってるよ。認めますよ、もう。悔しいけど。完敗です!カレには敵いません!!
それに、やっぱ違うしね。俺ら五人。似てるとこもあるけど、一人一人まったく別。同じ嵐でもさ、五人五色だから。たまたま、芹奈のタイプがその色だったってだけでさ…。