第9章 何事も、努力。
俺の努力の甲斐あって、なんとか芹奈は落ち着いた。一応カウンターだしね。ま、ちょっと奥まった場所だから人目はほとんどないんだけど。
「…大丈夫?」
「ん…。ごめん、ね…」
「…だからぁ~。何で芹奈が謝んの?芹奈が謝るなら、俺なんて10倍くらい謝らないとダメでしょ」
「え。…なん、で?」
「え?…なんか?なんとなく。じゃないと、ワケわかんなくない?」
「…フッ。そっちこそワケわかんない(笑)」
「いやいや。芹奈のが、ワケわっかんない、俺。なんで?」
「…」
「…」
「んっふ、あはははっ」
…よかった。芹奈、笑ってる。俺の好きな笑顔だ。まだちょっと頼りないカンジだけど。
いや~…いきなり泣き出した時は、ホントにね。どうしよって思ったけど。ま、いろんな意味で。いやいや、泣きたいのはコッチなんですけど、って。いっそもらい泣きしとけばよかったか?…ううん、それ、収拾つかないことになりそうだから。うん。俺も大人だし。ていうか、好きな子の前でそんなカッコ悪いとこ見せたくないしっ。
俺、男だからさ。や、芹奈は別にいいんだよ。女の子だし。女の武器でしょ?涙って。…いや、ソレも違うか、今回は。
「ふぅ~…。恥ずかし。取り乱しちゃった」
「…」
ホントにさ。何で泣いてくれたの?ねえ。それも芹奈、全然悪くないのにさ。むしろ俺でしょ?なんか、意地悪なこと聞いたり言ったりしてさ。嫌なヤツだよ、ホントに。我ながら。
なのに
そんな俺のために…