第8章 何事も、忍耐。
「マスタ~、おかわり~…」
「…相葉くん」
「だいじょ~ぶ。もう一杯だけ…」
「…」
て言いながら、あれから何杯飲んだかもうわかんない。でも、いくら飲んでもなんか酔えないっていうか。いや、酔ってるけどさ、ちょっと頭フラっとするし。悪酔いっての?これ。よくわかんないけど。
もうさ、このまま酔い潰れて、起きたら夢だった―…とかになんないかな、いっそ。全部、夢。俺が告白したのも、全部…。
なんてね。そんな都合よくいかないよね、世の中。それに、コレが夢だとしても、何も変わらない。芹奈が好きなのは俺じゃない。その事実は変わんないんだから。どれだけ好きか、どれだけ本気で想ってるか。芹奈の顔見てるだけで、イヤってくらいわかっちゃったから。だからもう、俺は潔く諦めるしかない。
だけど
「相葉くん…」
「…」
「…ホントに、ごめん…ね…?」
「…ううん。なんで芹奈が謝るの。なんか…逆でしょ?これ」
「…だって、あたし…っ」
「ほ~ら。おかしいから。ね?」
「…相葉く…」
「うん?…なに?」
「…」
「…なに?芹奈」
「……ありがと…っ」
「…」
「好きって、言ってくれたの、嬉しかった…」
「…うん」
「あた…あたしも、相葉くんのこと、大好きだよ…?」
「…うん…」
「ひっ…でも…っ」
「…うん。もう、いいから。…ね?」
「ん…ひっ…ぅ…」
「…」
この恋が終わったのは現実。痛いくらいに、現実。
だけど
同時に『やっぱ好きだな~』って。俺、ホントに芹奈が好きなんだなって。それも思い知らされた。俺のために泣いてくれてる芹奈を見て。俺、こういうとこも、好きだなって。好き…だったんだなって。
うん。
俺はもう十分。もうスッパリ諦めます!潔く!!