第4章 理想はKO
「てかさぁ。もうよくない?ぶっちゃけどのジャンル?業界人っつってもいっぱいいるじゃん」
「…」
そうなんだよ。作る側ひとつでも、世界的に有名な巨匠から、名もない駆け出しまでいるし。しかもいろんなジャンルがあるし…。
「もしかして、俺も知ってるくらいの超有名人だったり?」
「…う、うん…」
「えっ、そーなのっ!?」
半分冗談で聞いたんだけど!?
「じゃ、名もないスタッフさんじゃないってこと?つったら失礼か。えっと…。その業界以外の人も知ってるような、有名人?てこと?」
「…うん」
うわ。マジか。これは…話デカくなってきたぞ?だって芹奈、いろんな人の取材とかしてるし、それこそ政治家とかもさ。あとは~…
「わかったぁ!!スポーツ選手じゃない!?芹奈、スポーツ観戦趣味だし!!ダルビッシュとか!!!」
「・・・・・」
あ、違う。あ、さすがに違いますか。うん。わかったから。そんな露骨に『んなワケねーだろ!』って顔しなくても。
「じゃ~ね~…。え、芸能人てことだよね?テレビとか出てる…」
うなずいた。あ、そうなんだ。マジでそうなんだ。
えええ~~~!?誰、マジで!!ホントなんか、逆に納得いかないかも、俺。職場の上司とか、それこそイチローとかならまだしも…。
「げ~の~じんか~…」
「…あの。芸能人だから、ってことじゃ、ないから…ね?」
「ふ~~ん?」
ていうか。さっきから芹奈、すげー素直に答えてくれてるな。もしかして酔ってる?多少は酔ってるかな。つき合わせて、結構飲んでるし。
でも、きっとアレでしょ?俺に負い目とか感じちゃってんでしょ。気持ちには応えられないから、せめて…みたいなさ。誤魔化したりテキト~に流したって全然いいのに、ちゃんと答えてくれてるもん。ホント真面目。あとね、やっぱ優しいから、芹奈は。
俺、芹奈のこういうとこも、好きだったんだよね…。
…いやいやいや。うん。もう諦めますけどね?うん。諦めるから、さ。だから
ちょうだい?
思いっきり。ガツンっての。一発。