白い小悪魔は誰のもの?~Another story~
第2章 ★蜘蛛の誓い(花宮)★
『.....お兄ちゃんっ、お兄ちゃんってば!』
春の穏やかで暖かな日和、桜の花弁がチラチラと風に乗りながら舞う幻想的な空間を、一人の少女が駆けていく。先を歩く少年に向かって声を上げながら
?『なんだよ、デカイ声だしてんじゃねぇ。うるせぇだろ』
少年は怪訝そうな表情を浮かべるも、その足はしっかり止まり、少女の方を振り向いた。
『だってこうでもしないとお兄ちゃん止まってくれないんだもん!』
少女は少年の腕にしがみつく。同時に二人は再び歩き出した
?『てかお前、他のやつと遊ばなくていいのかよ?』
頭上から降ってくる花弁を鬱陶しそうに睨みながら少年は問いかける
『敦は今日家族と旅行だし、それに.....』
?『それに?』
『近所の子は、遊んでくれないもん.....』
顔を俯かせる少女に少年は子供ながら悟った。この辺では勿論、日本でも有数の名家である白崎家の跡取り。そんなやつに遊びとはいえ怪我でもさせたら、不満を抱かせたら....等の理由で近所の子を持つ親は少女と遊ばせないようにしている
中には少女の家が名家だからという理由でお近づきになろうとするものもいるだろうが、幸いこの近辺ではそういう輩はいない
『私と遊んでくれるの、敦かお兄ちゃんだけなんだもん』
?『はぁ...仕方ねぇな...』
これ以上少女の悲しい顔を見たくない少年は、少女の歩幅に合わせ、『何がしたい?』と聞いた
すると少女は俯かせていた顔を上げ、パアッと花が咲いたかのような笑顔を向ける
その笑顔に、少年は自身の顔に熱が上がっていくのを感じて、見られまいとフイッと顔を背けた
『えっと、えっとね!』