第9章 先輩と後輩と私
「あっ……改めまして瑠璃華御崎と申します、一昨日よりこちらの小鳥遊プロダクションにて家事手伝いを担当しております!」
「明日からは大和君の専属マネージャーも兼任してもらうことにはなったけどね」
「大和くんの……大丈夫ですか?」
「うん、御崎君なら大和君にいい風を入れてくれそうだからね」
それでも心配と言った様子の千さん。はい、その不安感はもうごもっともです、返すお言葉もありません。
「ところであの……事前に私めなどの様な存在をご存知でいらっしゃいました事にはいかなる理由が……」
「御崎ちゃんくどい~!もーっと砕けて呼んでよ!なんなら百たん♡って呼んでも良いんだよ」
「百、真顔でそんな事言うのやめなさい、御崎ちゃん困ってるでしょ。でも、百の言う事も一理あるからね……あんまり固くしないで、気楽に接してよ……そうだな、それこそ大和くんに接するくらいの感覚でいいよ?」
私が青い顔のまま接し続けていると哀れになったのか、お2人がそれはそれは優しい言葉をかけて下さる。
「いえいえそんな恐れ多い……大和くんとは同い年なので……千さんや百さんはもう雲の上の存在ですし……」
「千にそこまでへりくだるのも勿体ないから気楽に接していいんだよ、その辺のまんじゅうに話しかけるような感覚で」
「ちょっと万!こんないい男捕まえてまんじゅうってなにまんじゅうって!せめてもっとスマートなものに例えてよ!」
「じゃあネギ」
「いやスマートすぎるわ!」
「ぷっ……」
思ったより怖い人でもないし、想像と違う。ナギくんと陸くんからは優しい人だとか面白い人だとか聞いていたけど、それは彼らがアイドルだからじゃないかとか勝手に思ってたりもした。
勝手なイメージ持って失礼だったな……。
「……御崎ちゃん、笑うと凄く可愛いよ。普通にしててもキリッとしてて美人だけど、笑うともっと魅力的だね」
「千、うちの社員を口説かないでくれるかな?」
「ば、万……笑顔怖いよ」
「もー、ずっと笑っていればいいのに!勿体ないよー!」
屈託なく笑う百さんはとてもカッコ可愛く、本当にアイドルオーラがすごい。千さんもクールなイメージとは全然違って、お茶目だったりイケメンだったり、クルクルと表情や雰囲気を変えて素敵だ。