第9章 先輩と後輩と私
ご飯を食べ終わった後はすぐに食器を片付け、夕食のソテー用にチキンにハーブを揉みこんでおく。
ひと段落ついたら軽く休憩がてらまたナギくんと陸くんとお話。
2人が話す過去の事はとても楽しかったり、ハラハラしたり、凄く有意義な時間を過ごせた。
「そう言えば、御崎さんは今後誰かの専属みたいな形でマネージャー代理?サブマネージャー?みたいな事するって聞いたけど……」
「そうデス!ワタシの専属レディなどいかがでしょう?」
「あはは……悪い話じゃないけど、MEZZO"か大和くんって話になってるみたいだから選択肢には無いみたいだよ?」
「Oh My God……」
そんなたわいもない会話もあっという間に過ぎて、そろそろ万理さんのところに行く時間だ。
「それじゃあいってくるね!」
「いってらっしゃい!」
「いってらっしゃいマセ」
……。
今までこんな優しく見送られたこともなかったよ……ここに来てからたくさんの経験をさせて貰ってる。嬉しい反面、これが家庭として普通だったら、今の私はこんなに荒んだ心を持ってなかったんだろうな……。
優しい言葉に複雑な感情を抱きながらも、仕事だからと切り替えて午後の勉強会へと挑むのだった。
「……という訳で、ゼロアリーナでの事のまとめになるけど大丈夫かな?」
「はい!……そうだ、ええと、万理さん元Re:valeだって陸くんとナギくんから聞きましたよ!なんで教えてくれなかったんですか!」
「あらら、思ったより情報早かったなぁ。いやぁ、特にこれと言って話すことでも無いし……」
「いやいや、十分大事な事ですって!!」
恥ずかしかったのか、少し鼻の頭をポリポリと掻きながら言葉を濁す。
「実はまぁその通りなんだけど、僕のせいで千には迷惑かけたしね……今は百くんといい感じにやってるみたいだから、心から応援してるけど、やっぱり千の負担も百くんのプレッシャーも大きかったみたいでね」
それからは少しRe:valeと万理さんについて色々聞かせてもらった。
今日だけで覚える事がたくさんあって、メモ帳はどんどん黒くなる。芸能事情に疎い事もあり、人一倍の努力が必要なのは分かってるから、些細なことでも聞き逃さないように真剣な姿勢で聞いていく。
語られる秘話やこの世界の常識など、少しでも多く自分のものにする為に。