第8章 Side ~二階堂 大和~
認めてしまえば楽なのに。直感でコイツに惹かれたって。
最初は普通な方かなと思ってた見た目も、一日を通して仕草や表情を見ているとそこらのアイドルや女優なんかよりもよっぽど綺麗でかわいくみえるのに。
仮にこれが人を恋愛的に好きになる気持ちだとして……思春期の恋愛中の学生はこんな重いもんを背負って、締め付けられるような苦しみを感じていたのかよ。拷問だな、すげーわ。
俺は耐えられそうにない。相手の気持ちがどうとかじゃなくて愛する事も怖いんだ。自分がどんどんおかしくなっていくようで。
認めるのがラクか、認めないのがラクか。
俺はいつもの調子を取り戻したい。
だが……俺には興味を示さないコイツを、それでも他のやつにやりたくないって気持ちもでかくなってる。
どうしたらいいのか、もう分かんねえよ……。
一呼吸置いたあと、初めての苦しい感情をぬぐい去るように当たり前の文面をうちこんだ。
文章だとこんなにも当たり前に〝俺らしく〟を貫けるのにな。
そんな俺の悩みなんて1ミリも知らない悩みの対象が、あまり間も開けずに返事が返えしてきた。
ドラマ見てんのか。てっきりそう言うの見ないタイプだとおもってた。文章も素直にその考えを打ち込んで送る。
今は22時30分。
この時間帯にやってるのは、俺より少し歳上のイケメン俳優がやってるサスペンスか、子役からずっと俳優業をやってる20歳前後の若い俳優が視聴率がいいとこだったな。
アイツ、俺には興味示さない癖に……一体誰を見てんだ。
っ……あー、くそ……本当に俺はどうかしちまったみたいだ。
だから俺は彼氏でもないのにまた……。
悩みの真っ只中に軽く追い討ちをくらった気分になっていると、返事が来た。
あー……見たいような見たくないような。
恐る恐るラビチャを開く。
〝悔しいですがその通りですよ、でも今後の為にも皆の活動は見ておきたいので〟
どういう事?活動?ドラマ見てんだよな?
焦る気持ちとどこか期待しているような、気恥ずかしいような不思議な感情に任せて文を打つ。考えている余裕はない。
すると、一つ、また一つと謎解きのヒントを出されるように、コメントが出てくる。
は……?
待った、これって……!!
俺はさっきまで自分の胸を占めていた感情が、コメントが一つずつ出てくる度に別のもので塗り替えられていくのを感じた。