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家事のお姉さんと歌のお兄さんと

第8章 Side ~二階堂 大和~




俺も用事があるから、とアイツより先に外へ出て事務所の前に行く。
事務所の前、と言っても用があるのは事務所じゃなくてアイツだ。


挨拶を済ませているのだろう、少ししたら出てくるのが見えた。
俺は何事も無かったかのように挨拶をかわし、ラビチャのIDを聞く。

最初こそ面倒くさそうだったが、メンバーのリーダーと連絡が取れるのは確かに今後の為になるか、と納得しIDを交換してくれた。
用事は何か、と聞かれたが、素直に答えるのも面白くないから謎を残して寮の方へと歩き出す。
暇な時にからかってやろう、そう思いながら新しく追加された瑠璃華御崎の文字を見た。たった数文字のその羅列に、自然と口角が上がっていることも気付かないまま寮のリビングに戻ると、リクが大和さん惜しい!と迎え入れてくれた。


「御崎さんもう行っちゃいましたよ!」

「おー、そこですれ違ったわ」


ラビチャ交換した事は教えないし、仮に知られても俺にアイツのIDを聞かれたところで教える気は無い。まぁコイツらも聞きたかったらそのうち聞くだろうしな。フリスビーは自分で取りに行くもんだ。


「なーヤマさん、なんかいい事あった?怖いくらいニヤけてる」


コイツ意外と人の表情とか仕草とか、周りの事よく見えてるんだよな、まぁ今に限ってはいいんだか悪いんだか……。


「いい事は特に無いが、これからするいい事を考えてるぞー。さっき俺の写メ勝手に撮ったヤツにどんな制裁を加えようかってな」

「!!お、俺、もう寝る!」

「おっと~逃がさないぞ~?」


肩に腕を回すと至近距離で満面の笑み。


「ヤマさんこえーって!」

「二階堂さん、ストップ、もう夜も遅いんですからやかましくしないでください。撮った四葉さんも四葉さんですよ、それは自業自得です」

「ハイハイ」

「うう……いおりんんん~」

「私に泣き付かないでください」


アイツが帰ってからはまたいつもの日常に戻った感じがする。
もうそろそろ番組も終わりそうだし風呂の準備でもすっかな。


「ヤマト」

「ん?どうしたナギ」

「ワタシ、今までで一番胸が熱いデス」

「そうか、明日オフだよな?病院行ってこい」

「NO!違いマス!」


あー、これは面倒くさそうな予感がする……と言うか面倒くさそうな予感しかしない。


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