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家事のお姉さんと歌のお兄さんと

第8章 Side ~二階堂 大和~




ある程度案内し、各部屋説明し終わった頃に分かった事。
とりあえず色々端折って結論から言うと今回のお手伝いさんは当たりも当たり、大当たりの部類だ。

一つは、まぁ俺達の事知らないとは噂には聞いていたが、本当に興味が無かったのであろう事も薄々感じる事は出来た。
それでいて今はこの職に就いてから少しずつ学んでる、と言う前向きな姿勢も見て取れる。

その理由としては、覗き込んだメモ帳にはびっしりと俺達の個性や特徴、得意分野や好きなもの嫌いなもの、出演番組や時間帯などが事細かに書かれてて、知らない人が見たらドン引きするんじゃないの?ってくらいの濃さになっていたからだ。恐らく、勉強してきたんだと思う。下手するとそこいらのファンよりも詳しそうな程だ。

そして、本人はあまり意識はしていないのだろうけれど、当たり前の様に今もメモを取りながらも俺の話はキチンと聞いていてとてもその点は器用そうだった。

あと俺が当たりだと思った一番の理由は、メモの件での真面目さもさる事ながら、さっきの万理さんの話からするに今日はまだマネジメントサポートや付き添いは一切触れていないと言っても良いんだと思う……だが、それでもあのナギの様子だとドタバタしてたであろう朝の短時間でミツのスケジュールを移動時間も含めて把握してあったこと。

社長、とんでもない逸材を拾ってきたのでは……。

それとオマケにもう一つ上げるなら、これはまぁどうでもいいんだが、からかうと面白いのはいいとこだな。


そんな事を考えながらミツを送り出していると、一瞬、隣にいるお手伝いさんの顔が悲しそうと言うか辛そうと言うか、悲壮感漂う様に曇った。……ように見えたのだがそれは本当に僅か一瞬で、次に瞬きをした時にはもう元の笑顔に戻っていた。錯覚か……?いや、でも確実にしていた、と思う。じゃーなーと怪しんでいる事を悟られないようにヘラヘラとミツに手を振って誤魔化すと、明らかにホッしたような呼吸音が漏れたのを俺は聞き逃さなかった。
ミツが関係している事なのか何が原因かは分からないが、何か悩みか考え事でもあるんだろうか、もしくは何か企んでいるのか。この件に関してはガードが硬そうだから追々聞いてみるか。


飯に関しては全く考えてなかったから、とりあえず作り慣れてそうな得意料理を頼む事にした。何を得意なのか、少し気になったせいもあったが。

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