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家事のお姉さんと歌のお兄さんと

第6章 晩御飯と王様プリン




「もし君がキャーカッコよかったですーくらいしか言ってこなかったら、辞めてもらおうかなと思ってたんだよ」

「また!?」

「……また?」


聞き逃せないことを聞いた気がする。


「実は前に働かせてください!って来た人がいてね。すっごいファンだって言うから安心して1日任せたんだ。そしたら半日したところで、大和君からギブアップの連絡が来ちゃって。他の子達に聞いてもあんまりいい反応はもらえなかった。どうも気持ちがファンのまま家に居られて、ずっと見られていたり握手を求められたりサインを求められたり……彼らも最初こそありがとうとかこれからよろしくねとか、挨拶はしていたんだけど……皆家にいるのにピリピリしちゃって、自分も嫌だったんだろうけど見るに見かねた大和君が教えてくれて発覚したんだ」


もちろんその日でやめてもらったよ、と苦笑する社長。
明らかに公私混同しているその人の行動には憤りを覚えた。


「その点、君は本当に彼らの事を知らないみたいだしね、今度こそちゃんと安心して任せることが出来たよ」

「だから今日大和さんには少し壁を感じたんですね」

「あらら……大和君もわかってるようでグループの為となるとほんの少し気を回しすぎたりするんだけど……そのせいだろうね」

「俺からは皆に安心して仲良くしてくださいねって伝えておいたんだけどな……」


なにやら色々な重要情報が私の耳にどんどん流れ込んでくる。
なるほど、一番最初に案内役を買って出たのも私を見張るためで、それによって説明される名前に反応するかとか些細な行動をチェックしていたということね。

確かにグループ思いでとてもしっかりしているんだろうな。社会人としてさらに株が上がる。

でも、それと同時にほんの少しだけ寂しさも感じた。行動にちょっとだけ親しみを感じていたけど、それもまた私を見張ったり人間性を見たりするためだったのかもしれないと思うと少しだけモヤッとする心の奥。でもそれこそ公私混同だ。勝手な思いこみなんてお互いにとってデメリットでしかない。一瞬だけ浮かんだ理不尽なモヤモヤ感を消し去ると、社長の言葉に耳を傾け続ける。


「まぁ、そんな感じだから、さっきの君の言葉には安心感を覚えたんだよ。彼らからはいい人ですねとか好感触なラビチャを紡がもらってるし、多分そんなに気も遣ってないんだと思うよ」


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