第6章 晩御飯と王様プリン
「そうだ、紡ちゃんのラビチャ教えて?さっきそこで大和さんに会って教えてもらったんだけど、紡ちゃんとも交換した方が連絡取りやすいかと思って!」
「えっ、大和さん……出不精なのにこんな時間に珍しいですね」
「え?あれ、用事あるから事務所行くって言ってたけど……?」
「?来てませんが……」
「?」
よく分からない謎は深まるばかりで、二人して頭の上に?マークを浮かべながらもとりあえずラビチャの交換を終わらせる。
「そう言えば社長と万理さんもお話を聞きたいみたいでウズウズしてましたよ」
「あっ、そうだよね、早く行かなきゃ!」
紡ちゃんと二人急ぎ足で事務所へと向かうと、万理さんと社長がニコニコしながら出迎えてくれた。
「お疲れ。御崎君。今日1日働いてみてどうだったかい?」
「はい、やる事はとても沢山ありそうですしやりがいを感じました!それに皆さんとても優しくて明るくて気さくで、ここでの1面はオフであるにも関わらずそこにすら存在しているキラキラした面も垣間見れて、言葉にはなかなかし辛いのですが、本物……と言うかすごいなぁとも思いました」
「そうだったか!そういう風に見えたならなによりだよ」
「でも……彼らもアイドル。普通の職業と比較はするものではないと思うのですが、やはり一般職から見るとストレスや負担も多い日々を過ごしていると思うので、できるだけ寮にいる時間くらい気を遣わないで過ごしてもらいたいと考えております。また、放っておいたら食生活を疎かにしそうな方も何名かいるので、キチンとバランスの良い食事を摂取していただけるように頑張ります」
この言葉を聞いた万理さんと社長、そして紡ちゃんまでもが目を丸くした。
「やはり私の目に狂いはなかっただろう、万理君」
「社長、流石ですね」
「私、御崎さんがここに来てくれて良かったです!」
「?」
私そっちのけで盛り上がりかけている事務所メンバーの様子から察するに、悪い意味ではないだろう。
「御崎君は皆のことを全く知らなかったんだよね?」
「はい……あ、グループ名は伺った事はあります」
「うんうん。でも今日だけでそんな皆のことをよく理解してくれて、為になる事をキチンと考えてくれたこと、嬉しく思うよ。」
社長は本当に嬉しそうにそう言った。