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家事のお姉さんと歌のお兄さんと

第6章 晩御飯と王様プリン




よかった。純粋にその一言を聞けて嬉しいと思ってしまう。
そして話に花が咲き、他に詳しく何かあったかと聞かれたり今後の仕事についてなどを話したりしているうちに、気が付いたら定時よりも大幅に時間を過ぎていることに気付いた。
時刻は20時45分。あれからあんなに話していたのか。でも多分家に帰っても話す人もいないし、今後の事とか目標も立てる事が出来たし、今日と言う日にたくさん話せてよかった。


「今日の残業分もちゃんと出しておくからね。今後の方針とかについても話したんだから、きちんとしたお仕事だよ」

「ありがとうございます。それではお先に失礼致します!」


3人からも「お疲れ様」の声をもらい、外に出て歩き出した。
もうちょっとで紅葉真っ盛りになりそうな時期、ほんの少し色付き始めた広葉樹を眺めると、くしゃみを一つする。


「結構気温差出てきたなぁ」


元々寒いのが苦手な私には大敵と言える時期がそろそろ目前に迫ってきているのを肌で感じ、少しだけ空を見上げる。

そんな時、スマホが震えるのをポケット越しに感じ、取り出して画面を点けた。紡ちゃんかな?そう思い眩しい画面に目を細めながら明るさを下げる。しかし、予想とは裏腹にそこに表示されていたのは小鳥遊紡ではなく二階堂大和だった。

なんだろう、そう思いながらもさっきの社長との会話を思い出して多少警戒しつつラビチャを開く。


〝お疲れ。定時20時って言ってたのに今出てくるの見えてちょっと驚いたからラビチャした。思ったより長話してたんだな〟


これに何をどう返せば、危険人物としての観察対象から外してもらえるんだろうか。全くわからない。
ちょっと悩んだ挙句、割と端折って説明する事にした。


〝今日の感触や今後の事について話してました〟


何か言ってやろうかとも思ったけど下手な事言って危険人物認定されても面倒なので深入りはしない。見ようと思っていたドラマを万が一に備えて録画しておいてよかった、間に合いそうにない。

時刻を確認してからスマホをポケットに収め、周りの人よりも少し早いくらいの早歩きで地面を踏む。どうせ間に合わないならコンビニにでも寄るか、そんな事を考えているとスマホが震えた。


「返信早っ」


私はため息を吐くと仕方なくもう一度ポケットからスマホを取り出す。こりゃ諦めてゆっくり帰るしかないな。



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