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家事のお姉さんと歌のお兄さんと

第6章 晩御飯と王様プリン




「じゃあそろそろ行くね、皆お疲れ様!また明日!」


手を振って扉を開けると、後ろから一斉に聞こえるお疲れ様の声。
どれもちゃんと気持ちが籠っていて、会社で毎日耳にしていたおざなりな挨拶とは違うものを感じた。
……アイドリッシュセブンに心から労われるなんて、世の女子に恨まれるんだろうな。

一度外に出て隣の事務所へと足を運ぶ。
外気は少しだけひんやりと冷たく、1日目を終えた高揚で上気した体温は程よく下げられていく。もう少ししたらきっと手袋が必要になる時期だろう。
早く事務所に入ろう、そんな時大和さんがこちらへ来るのが見えた。


「おー、お疲れさん」

「ありがとうございます」

「あ、そうだ。ちょっと」


会釈して立ち去ろうとすると引き止められた。


「なんでしょう?」

「連絡先あると今後便利だし、お前さんからもらった通達は俺経由で他のヤツらに回せるから、ラビチャ教えて」

「えぇ……あー、まぁ確かに誰とも連絡取れないのは仕事としても困るか……」

「あのなぁ、あんまり露骨に嫌そうな顔されると流石にお兄さん傷付くんですけど」

「そんな豆腐メンタルって人間でもないでしょうに」

「なんだ、バレてた?」


お互いくすくすと笑うとスマホを取り出す。
連絡先を交換しあって終了。


「気を付けて帰れよー」

「ありがとうございます。あ、そう言えば用事は済んだんですか?」

「ん?あぁ、ちょうど今終わったよ」

「?」

「なんてな。それじゃ、また明日ー」


よく意味が分からなかったけど、ヘラヘラしながら大和さんは寮へと消えていった。
ぴゅうと吹き抜ける風に少し身震いし、まぁいいやと事務所へと入る。


「あっ、お疲れ様です!今日1日どうでしたか?」

「うん、皆すごくいい子達だったし、家事もしやすかったよ!」

「ほんとですか?よかったぁ」


出迎えてくれた紡ちゃんはとてもニコニコしていて、自慢のアイドルを褒められたのがとても嬉しいんだろう、そんな感じがした。
確かに皆すごく自慢になるような素敵な子達だもんね、マネージャーとして誇らしいんだと思う。

そんなニコニコしている紡ちゃんを見てると、本当に妹みたいで可愛いなぁ、なんて癒しまで生まれてきた。

この職場本当に最高。

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