第6章 晩御飯と王様プリン
「まぁ……別にファンでないことを責めた訳では無いですし、無理にファンになれとも言ってないんですがね」
顔がちょっと赤い。もしやこれは照れてるのか。だとすると可愛い一面という物を見れたんだろう。ラッキー。
「無理してないよ、本心だからね」
トドメと言わんばかりに本心からの笑顔と言葉。一織くんはそうですか、と言うと露骨に視線を逸らす。
「まぁ私達も手の及ばなくなってきた範囲ではありますし、居て頂けると多少なりとも楽なんじゃないですかね、あくまでも貴女の仕事ぶり次第ですけど」
「ん?」
「鈍い人ですね……これからよろしくお願いしますって事ですよ」
「!ありがとう一織くんっ!」
照れ臭そうに眉を困らせた形にして口調キツめに言っていても口元は笑っている。難関だと思ってたけど、不器用ってこういう事か!
きつい事言っていても、中身は本当に優しいんだろう。そんな人柄が見えて、なんだかとっても嬉しい。そしてそう言うのを知ってしまえば、可愛くすら見える。これは可愛い弟だ。ほっこりしながら兄である三月くんを見ると、よかったなと言わんばかりに微笑んでいた。訂正、これはいい兄弟だ。
「OH……麗しのマイプリンセス……お仕事終わったあと、ぜひデートでも……」
「ごめんね、見たい番組あるから遠慮するよ」
「NO!ワタシのデートよりテレビ番組を選ばれてしまいました……ワタシの国の女性、これでイチコロだと言うのに……」
私に投げかけたウインクは丁寧に受け取り拒否。頭を抱えてショックを表すナギくんは目まぐるしく変わる表情も相まってとても面白い。軟派なところはあるけど、普通に素なんだろうな……多分悪い子じゃない気がする。
「御崎さん!明日も来てくれるの?」
「うん、そうだよ。明日のスケジュールも聞いておきたいし、これから事務所に行くの」
「そっか、明日のご飯も楽しみにしてるね!」
「ふふ、おまかせあれ!」
目を輝かせる陸くん。キラキラした笑顔とまっすぐな姿勢は、人の応援したい気持ちを直に揺さぶってくるし、本当にすごい子だと思う。
「あー、そういえば俺も用事あるし事務所行ってくるわ」
そう言うと、大和さんは部屋を静かに出ていく。
「ルリちゃん、明日の飯何?」
「環くん気が早い!」
流石に笑ってしまった。