第6章 晩御飯と王様プリン
「それじゃあ、皆さんどうぞ召し上がれ!」
私が号令をかけると声を揃えたいただきますの後、育ち盛り働き盛り男子軍団は待ってましたと言わんばかりにすごい勢いでガツガツと食べ始めた。
「わーい!御崎さんのオムライスだー!ん!!美味しい!美味しいよ御崎さん!」
「ふふ、ありがとう」
陸くんは本当にオムライスが好きなんだろう、心底嬉しそうだし美味しそうに食べてくれる。それを見て私もとてもほっこりした気分になった。
「ルリちゃん、まじウマイよ、これ!俺、仕事中の昼飯も学校の弁当もルリちゃんの飯がいい」
「環くん、そこまではちょっと御崎さんも無理だと思うよ、御崎さんはここに住んでる訳じゃないんだから……それにいきなりそんな呼び方したら失礼だよ!」
環くんと壮五くんのやり取りを横目に見ながら、聞き慣れない固有名詞に首を傾げる。
「ルリちゃん?」
「うん、アンタの名前。呼びやすいから」
「あだ名なんて久しぶりだなぁ、懐かしい。面白いしあだ名でいいよ」
なるほど、皆に付けてるあだ名という事か……流石に職場関連の人はどんなにフレンドリーでも私をあだ名で呼ぼうとする人なんていなかったからなぁ。皆仕事に真面目だからだと思いたいんだけど、もしかしたら怯えられていたのかもしれない……。
「くぅー!この味!スープにオールスパイス入れてるよな?すっげーいいアクセントになってる!」
「えっ、三月くんわかるの?誰にも気付かれないかと思ってたんだけど」
「兄さんは調理師免許持ってますからね」
「そうなの!?すごいね!」
「おう!この丁寧に裏ごしされたとわかるじゃがいもと……コーンの深みがなんとも言えないよな!」
コーン、のあたりでチラと一織くんを見る三月くん。
「!?」
ギョッとしながらスープを飲んでいた手を止めた。
「もしかして……とうもろこし嫌い?」
「別に……好き嫌いなんてあるわけないでしょう、子供じゃあるまいし。このスープも悪くないんじゃないですか?」
「無理してかっこつけんなって~」
「兄さんはちょっと黙ってて下さい、見栄でもなんでもないです、普通に食べられます」
ツン、とそっぽを向くと、先程よりも恐る恐るだがスープを飲み出している。
食わず嫌いなのかな。