第6章 晩御飯と王様プリン
「だから、僕1人だと無理かもしれないけど、環くんの力があればきっと大柄な大和さんも抑えられると思うんだ!」
「ふふん、そーちゃんがそこまで言うなら仕方ないなー、俺、ちょっと頑張る」
「ありがとう環くん、その優しさで僕は感涙に咽び泣きそうだよ!!」
なんだこの壮大そうに見える小さなストーリー。
「このふたりはいつもこうなの……?」
「いつもこうというか……むしろこの2人はこれでいいんですよ。このグループ内で一番四葉さんの扱いに長けてるのがユニットの相方である逢坂さんなんです。私の言い方だと四葉さんには納得して頂けないようですし、何より相方から褒められるのが好きなんですよ、彼は」
ユニットってそんなものなのか……と未だに団子状態のもう一つのユニットを見やる。もみくちゃになってはいるものの、仲は本当にいいんだろう。
「ほら、ボーッとしてないで。四葉さんの気が変わらないうちに頼みましたよ。」
「わ、わかった……」
大和さんに抑えられてもがく三月くんを踏まないように、恐る恐るナギくんに近寄るとトントンと肩を叩いた。
「あの、えーと」
なんて言おう、ちらりと一織くんの方を見ると「お茶とか何か誘ってください、あくまでもお願いを、するように!」と小声で伝えてくれる。
「ナギくん、あの、お茶入れるから……少しゆっくりしない?」
「OH!レディから!麗しのマイプリンセスから!お茶に!誘って頂けるとは!」
そりゃもう見事あっさりナギくんの手が止まる。
「今です!四葉さん、逢坂さん!」
「いこう、環くん!」
「うす」
三月くんを抑えているのが大和さんだけになった瞬間を見て環くんと壮五くんが、未だに何かイタズラしたりないと言う顔をしている大和さんを片腕ずつ抑える。
その隙に、一織くんが三月くんを救助し、なんとか一旦は収まった。
しかし
「スエゼン、クワヌハオトコノハジ、日本の男性はこういう時にこういうってキキマシタ!」
「それ間違ってるから!」
へとへとながらも鋭い三月くんのツッコミが飛ぶが、完全に王子様エスコートスタイルに入ってるナギくんの耳には届かない。
「ひえぇ……」
誰か助けての声をあげようとした時だった。
「あー疲れた!もうすごいお腹空いたよー!」
救いの天使が舞い降りた。