第6章 晩御飯と王様プリン
「一体なんなんですか、いい歳した人達がこぞって騒いで……近所迷惑ですよ」
「すごい賑やかだね、上まで聞こえてきたよ」
「ふあー、何やってんの?大乱闘?」
心底迷惑そうな一織くん、苦笑気味の壮五くん、仕事から帰ったばかりの眠そうな環くんの順に食堂に入ってきた。
「ちょーピタゴラスがファイターしてんじゃん」
彼らのユニット名か。角付きの可愛いフードを被り眼鏡をかけた衣装を身に纏い、楽しそうにワチャワチャしてるジャケだったと思うが、今は楽しそうを通り越して凄惨な事件現場へとなりつつあった。
「環くん……環くん力強そうだからこれ止めれる?」
「……ヤダ、なんかめんどくさそう」
「だよね……」
私も同じだ。
「だよね、ではありません。貴女だって年長者なんですよ、もう少し責任持って面倒見たらどうですか。社会に出ていたのなら酔っ払いの扱い位多少なりとも学んで来れたはずでしょう。途中でうまく収める事だって出来たと思いますが?」
う、流石二大難関のうちの1人なだけあって、一織くんからの風当たりが厳しい。
「……スミマセン」
まぁ確かにうまくまとめることも出来ないことはなさそうだった……と思う。あんまり自身はないけど。言われた事は本当にごもっともなので、今日だけで3度目の社会人失格称号を手に入れてしまった。素直に申し訳ない。
「あ、いえ……その。コホン。とにかく瑠璃華さん、六弥さんをお願いします」
「ナ、ナギくんですか?」
「ええ、あなたの静止なら……いえ、お願いならおそらく素直に止まるでしょう」
実は一番最初の印象から触れてはいけないゾーンだと勝手に決め込んでいた為、一織くんの指示に躊躇い覚えてしまうもののそれしかないだろうなと心のどこかで諦めた。
「四葉さん、逢坂さん。酔っ払ってる人をお願いします」
「えー俺がヤマさんかよ」
「た、環くん、僕も頑張るから!」
露骨に嫌そうな顔をする環くんに、壮五くんがあたふたとフォローを入れる。
「でもそーちゃん俺より細っこいし」
「そ、そうだね、環くんは僕よりとっても逞しいよね!力持ちだし、身長も高くて筋肉も骨もしっかりしてるし、僕には無いところだから本当に頼りになるよ!」
「へへ、そうかな」
たくさん褒めてくれる壮五くんに、心から嬉しそうな環くん。