第6章 晩御飯と王様プリン
「て言うかー、年下って言ったって1個しか違わないミツにはタメ口で話すのにーお兄さんにはタメ口で話してくれないとか、お兄さん拗ねちゃうー」
本当に面倒臭い人だな、ご自身のプロフィールを1度見せたいくらい。
「大和さん、酔うといつもこうなんですか……?」
「いつもと言うか……あーまぁいつもか」
マネージャーとかにも結構セクハラじみた発言してんだよ、と報告を受け、私の中で大和さんは危険人物ランクの更に上位にグイグイとくい込んでいく。
「ちょっとやめてくんない、誤解招くっしょー、風評被害だ風評被害ー」
「ほんとの事だろ!」
お前も気を付けろよ、と私にコソコソと耳打ちで注意を促してくれる三月くん。しかし、また何か大和さんのスイッチが別ベクトルで入ったようで。
「おーいミツー、お兄さんにセクハラだとか言っておいて、しれっと女性の隣に座って近付いていい匂い嗅ごうとするなんて変態だなー。そんなやつにはお兄さんからの愛のお説教だ」
「うわっ、ちょっ、なにすんだよ離せ!それこそ風評被害だ、名誉毀損だー!!」
「いてて、暴れんなよミツ、悪い子にはお仕置きだぞー……そらっ!」
「うわっ、やめろ、やめっあはははは!っは、誰か!メーデー!メーデーーーー!!!ギャハハハハハ!」
ガシッとホールドすると、これでもかと言わんばかりにくすぐり始める大和さん。
必死にもがくも抜け出せない三月くんと一瞬目が合ったが、巻き込まれたくないのでそっと視線を外し、期待する「誰か」にはなれない事をアピールした。ごめんね。
「Oh!何事デスカ!」
悲鳴を聞きつけて、カタコトの誰かが助けに来てくれたよ。良かったね三月くん!
「ミツキとても楽しそうデス!日本人、イヤヨイヤヨも好きのうち、と聞きました!ワタシも混ぜてクダサーイ!」
「ぎゃあああマジでやめろおおお!」
昨日の友は今日の敵らしい。ぎゃあぎゃあ騒ぐ3人を尻目に私はお茶を啜って遠い目をするしかない。いやほんと、三月くんがお空のお星様になる前に誰か収拾つけれる人助けて。
テーブルの上にあった空のお皿は流しに下げて、大和さんのビールも大混乱に巻き込まれない位置まで遠ざける、これが今出来る私の精一杯。
でも、見てて仲いいって事は分かるし、大和さんも酔ったら子供っぽいとこあるんだなって、ちょっと面白かった。