第5章 はじめてのおつかい
冷蔵庫を開けると、手際よく物をしまう。陸くんと大和さんが持ってきてくれた食材や生活必需品も片付けていると、呼び鈴がなる。
「俺ちょっと見てくるわ」
大和さんが玄関の方に消えると陸くんと2人でお片付けを続行する。しまってもしまってもまだまだある食材に、陸くんが徐々に小首を傾げてきた。
「この量だと、結構お金かかったんじゃ……?」
「世の中にはクーポンと言う便利なアイテムがあるのよ」
そう言うと、提出用に発行してもらった領収書ではなく、普通のレシートを見せる。
「うわー!卵ってこんな安く買えるの!?牛乳も!?」
色々方法があるのよ、とレシートを見て軽く感動している陸くんを横目に生活の知恵を伝授するのだった。
「お前さん、随分と買い込んだんだな」
扉を開けて苦笑しながらダンボールを運んでくれてる大和さん。配達の荷物が届いた様で。
「あの店、まとめ買いした方がお得になるんですよ、現にこれだけ買っても2万前後で抑えれています」
食材だけではなく掃除用品や日用品、それらを含めても、だ。
ふふんとドヤ顔を作ってみると流石に金額には驚いたようで大和さんの口からはふーんではなく、へーが出てきた。
「あまりにも買い物が上手くいったからデザートにでもと思って王様プリンも人数分買って来たけど……嫌いな人とかいますか?」
「あー……嫌いな人はいないけど……」
「怖いくらい好きなやつはいるな」
陸くん、大和さんが声を揃えて苦笑いしている。確か、インタビュー記事を思い返すと、四葉さんが好きだと書いていた気がする。彼の事だろうか、と言う疑問は口から出る前に解決した。
「王様プリン!?」
音を立てて開かれた扉から、飛び込むように入ってくる高身長の男の子。男らしいガタイに似合わず水色の髪がふわふわとしていて可愛らしい。四葉環さんだ。
「あ、コーヒーの人じゃん」
「はい、本日からこちらの管理と手伝いを任される事となりました瑠璃華御崎です。よろしくお願い致します、四葉さん」
ペコリと頭を下げると、四葉さんはガシガシと頭を掻きながら首を傾げた。
「うす。てか、なんでそんな堅っ苦しい話し方、してんの?昨日はフツーだったじゃん」
「私はお仕事ですので」
「ふーん。でも俺、家にいんのに仕事っぽいのヤダ」