第10章 歓迎パーティの波乱
あれから飲んで飲んで……しばらくして気付くとみんな酔い潰れていて、三月くんは机に突っ伏し、大和くんは私の横で腕を組みながらソファにもたれ掛かるようにしてこっくりこっくりしている。
私はと言うと、なんとも恐れ多いことに大和くんにもたれ掛かるようにして寝ていたみたいで……恥ずかしいやらヨダレ垂れてないか心配になるやら(確認したら大丈夫だった)、後で寝顔馬鹿にされるんじゃないかと思うと踏んだり蹴ったりだ。
そういえば、と思いふと時計を見るといつの間に1時を回っていた。私や三月くん、大和くんに毛布がかかっているところを見ると、未成年組の誰かが掛けてくれたんだろうか。
(帰らなきゃ)
明日も仕事……と言うか、明日こそ大事な仕事なんだから、ヘマは出来ない。私はあまり二日酔いとかはしないタイプだから大丈夫なんだけど……大和くんは大丈夫だろうか。
私にかかっていた毛布を大和くんに全部かけ、私は2人を起こさないようにそっと荷物を取って寮を出る。合鍵も預かっているので静かに鍵を閉めて門の前に立った。見上げた空は晴れていて、都会の明るさにも負けない北極星がチカチカと点滅していた。
涼しさが酔い覚ましに丁度いい。
とても楽しかった思い出を胸に、明日からの努力の糧として頑張っていこう。
決意を新たに一方踏み出すと、突然頭に何かが触れる。
「ちょいまち」
「!?」
振り返ると、なんともいつも通りと言うか、大和くんがそこに立っていた。
「お前さん、流石にこの時間に1人歩きは危ないんじゃないの」
「ごめん起こしちゃった?」
マスクと帽子で顔を隠し、襟の大きめなコートを着て変装もバッチリな大和くん……この短時間で凄い。
「元々寝てないから大丈夫」
「えっ?」
「はは、お前さんの寝顔が面白くてなー狸寝入りしてましたー」
「ばっ!!……馬鹿」
深夜帯だから叫ぶことも出来ないので小声でボヤいておいた。
「送るわ」
「いいよ別に、こんなの襲う物好きいないから……それより、大和くんも明日仕事なんだから休んでおいてよ」
「仕事っつっても明日は昼からだから。それに深夜帰ることに気付いてるのに、御崎を1人で帰したってバレた時お兄さんきっと皆から非難轟々だと思うしー?」
「みんなそんな事で怒んないと思うけどなぁ……」