第10章 歓迎パーティの波乱
「ノンノン、ヤマト……プリンセスにはプリンセスらしく触れてあげるのデス」
「へ?」
突然背後から声がしたかと思うと、腰を抱き寄せられる。
そこには少し赤らんだ顔のナギくんがいて、私の片手に唇を落としていた。
「美しいマイプリンセス……ヤマトのマネージャーなのは仕方ないことデス……でも、ワタシだけのプリンセスになりませんか?」
「おいおいおいおいナギ??んんん??ナギくん???」
「ちょっ、おま、ナギ!!やーめーろー!!はーなーれーろー!!」
「ナナナナギくん!!ちょっとそれは……!」
三月くんが私を引っ張ってナギくんから離す。引っ張られた私はと言うものの、流石に王子様レベルの人に王子様とお姫様みたいなやり取りをされ、赤面待ったナシ。お酒のせいもあって体温が高くなる。
「……」
「……?」
誰かから痛い程の視線を感じた気がして顔を上げるも、誰とも目線は合わなかったので首を傾げる。
「あー、大和さん?ええと……ほら、ビール飲んで落ち着こうぜ」
「いや、お兄さん至って冷静だぞ。冷静じゃないのはどちらかと言うとナギだろ」
「ナギくん……そろそろほら、寝よう?」
壮五くんがナギくんをやんわりと寝室へ送り出そうとするも、イヤイヤと頭を振ったナギくんはそれを受け入れない。
「ソウゴ?何故ですか?まだまだこれから……」
「あー……ええと、そ、そうだここな!僕にここなのオススメの話を見せてもらえないかな?」
「Oh!!そう言うことでしたら話は別デス!さぁ早速ここなと一緒に夜を明かすのデス!!」
「えっ、ナギくんオール前提!?」
(ソウ……お前の犠牲は忘れない……)
(壮五……お前が平和の使者だ……)
ここなの一言でスイッチが入ったナギくんは、あっという間に壮五くんを連れ去ってしまった。
「なんて言うか……うん、ナギくんって本当に女性慣れしてるのね……」
「まー、ライブの帰りとかにナンパしたりしてたからなアイツ……」
私の問いかけに三月くんが苦笑いしながら説明してくれた。
……どうやら三月くんも結構苦労したみたいだ。
「お前さんだいぶ抜けてきたな?もうだいぶ人も減ったから落ち着いたろ」
「じゃあそろそろ帰」
「飲み直すぞ!」
「まだ飲むの!?」
そうして結局捕まってしまった。