第10章 歓迎パーティの波乱
よく分からない流れの後、ふとニヤリとした後に陸くんが突然口を開いた。
紡がれる曲は、彼らのターニングポイントとなったあの曲。
皆が続けて歌っていく。まるで大合唱だ。私も必死に聞いて覚えているから少しなら歌えそう。でも、恥ずかしいから小声で歌っておく……歌手を前に歌うのってやっぱり恥ずかしいと言うか、気が引けるってのもあるからね……。
組んだ方を左右に揺らしかながらみんなで歌を歌うって本当によく分からない流れだけど、酒もいい感じで回ってきたのか楽しさが倍増した感じがする。
ひとしきり歌い終えると、みんなの顔は先程よりも明るいものになっていて、これが歌の力か、感動すら覚える。
「いえーーーい!」
大盛り上がりの合唱はみんなのバンザイやハイタッチで締めくくられた。
「それじゃ、俺達はこの後マネージャーと打ち合わせがあるから!そろそろ失礼するね!あー楽しかったー!また来ようね、千!」
「そうだね、百。御崎ちゃんも頑張ってね。お邪魔しました」
「はい!今日は楽しかったです、ありがとうございました!」
みんなもそれぞれサプライズの手伝いをしてくれた事やパーティに参加してくれた事を感謝しながら見送った。
去り際に手を振っていく姿を見ると、やっぱり酔っ払いでもアイドル感が残っててすごい、これがトップアイドルなのか……。
「楽しかったねぇ……Re:valeのお二人が来てくれて……」
「だよなー!二人共すっげーカッコイイし面白んだよな……俺もMCの腕追い付きたいぜ……」
「はは、まだまだ飲むぞ!お楽しみはこれからだ!」
ダメだ、大和くんのスイッチ完全に入ってる。
「ほらほら飲むぞー!俺のマネージャー!」
「ひゃ!それもう、おちょくりたいだけでしょ全く……」
二人をみんなで玄関まで見送ってから、さぁ戻るかと言う時にぐいっと首に腕を回されて引っ張られる。
「ヤマさんだけずりー!俺も!」
シラフのハズの未成年、環くんまでもが私の首に腕を回す。
傍から見たら深夜の飲み屋街、3次会帰りの頭にネクタイ巻いてるタイプの団体も同然だ。
それからまた、席についてみんなで談笑しながら飲んだり食べたりを再開した。