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刀剣男士で百物語

第3章  秋田藤四郎の話 【三振り目】


しがみついていても、こえはずっと聞こえていて…。
僕本当に怖かったです。

早く朝になれって、早く早くって。
そう願っていたら、トラツグミの声がぴたって。
ぴたって止まったんです!

トラツグミだって鳥ですからね。
鳴きやみますよね。へへっ。

布団からこっそり覗いたら、障子の前にトラツグミが居たんです!
縁側にあがっていたのが、影で分かりました。

僕、トラツグミは近くで見たことがなくて。
さっきまで怖かったのが嘘みたいになくなりました。
見たい!って思ったら、僕布団から飛び出していました。

ゆっくりと障子を開けると、トラツグミは飛んで行っちゃいました。
でも、遠くに行かないで庭の木にとまったんです。

直ぐに追いかけかったけど、いち兄にはいつも言われていましたから。

…え?外に出るときはちゃんと靴を履くことって!
だから静かに玄関に走って靴を取りに行きました。
廊下は真っ暗で怖かったですけど、大広間で大きな方たちがお酒を飲んでいたのでとても賑やかでした。
僕は大きな人たちにバレないように玄関に向かいました。

真っ暗の中に玄関が明るく照らされていました。
そういえばその晩はお月様がとっても綺麗でしたよ。
大きな方たちも月見酒だって喜んでいましたし。
明かりをつけなくても僕は見えるので、そのまま靴を取りました。
その時です。

ヒュー ヒー ヒー

またトラツグミが鳴き出したんです。
その声はとても近くから聞こえました。
さっきのトラツグミがこっちに来たのかな?
もしかして僕に会いに来てくれたのかなって。
そう思ったんですけど、なにかおかしかったんです。

…影が。
長くてひょろっとした影が、玄関の擦り硝子から伸びてきていました。

見たくなかったのに、僕は顔をあげました…。


居たんです。
玄関の擦り硝子に…ぴたってくっついた人が…。

顔を硝子にぎゅーってくっつけて、僕を見下ろしていたんです…!


ヒュー ヒー ヒー

息が止まりました。
トラツグミの声が、その人から聞こえたんです。

僕怖くて、逃げようとしたのに動けなくて…。
その人は人間じゃないし、僕たちの仲間でもなかったです。
あんなひょろ長い人なんか見たことありません。

ヒュー ヒューヒュー

ずっと鳴いていました。
その時、影が笑ったんです。
にやぁって…。

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