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刀剣男士で百物語

第3章  秋田藤四郎の話 【三振り目】


硝子に顔をくっつけているから、顔が全部見えているのにその人には目も鼻も髪の毛もなくて…。

口だけでした。

その口からトラツグミの鳴き声が聞こえて…。

ヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒヒーヒーヒーヒーヒーーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒーヒー


もう怖くて。
怖くて怖くて怖くて…。

叫び声をあげて、逃げました。

本当は叫ぼうとしても怖くて喉がカラカラになっていて…。
声なんか出ていなかったかもしれません。

大きな人たちがいる大広間に逃げ込みました。
ここにいればきっと大丈夫だろうって。
襖をあけて転がり込んだ僕を見て、あれだけ賑やかだった音がぴたって…。

トラツグミが鳴き止んだ時と同じでした。

「助けてください!玄関に!玄関に!」

僕が縋りついたのは多分、日本号さんだと思います。
出入り口に近くで座っていたから。
でも、日本号さんは全く動かなくて。

そしたら、また…。


ヒュー ヒー ヒー


また、またトラツグミの…違います。
またあの人の声が…。

怖くて日本号さんにしがみついて、目を閉じました。
皆さんが居るから大丈夫って。
そしたら…。


ヒー ヒュー ヒュー


僕の頭の上から、鳴き声が聞こえて…。
ゆっくりと顔をあげたら…日本号さんじゃなくて…。
僕がしがみついていたのは、口だけのあの…あの…玄関の人が…。






その後は、鯰尾兄さんが起こしてくれるまで僕は一人で大広間で眠っていました。
大きい人たちに昨晩は飲んでいましたかって聞いたのですが…。
みなさん、飲んではいないよと。

なら僕が聞いたあの賑やかな声は?
それよりも玄関に居たあの人は?

誰に聞いても夢だって言われるんです。


…主君は信じてくれますよね?


今では正直トラツグミの声が怖いです。
その声がトラツグミなのか、あの人間なのか全くわからないからです。





……これで終わりです!
どうですか?怖かったですか?







おわり
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