第3章 秋田藤四郎の話 【三振り目】
えっ怖い話ですか?
うーん。僕は怖いのが苦手なので、鯰尾兄さんに聞いたほうがいっぱいあると思いますよ?
…えー。僕から聞きたいんですかぁ?
何かあったかな…。
………あっ!あります!怖いお話!
主君はトラツグミって鳥を見たことがありますか?
見た目は夜鷹に似ていて…。
でも鳴き声が全然違いますからね。
それがとっても不気味なんです!
ヒュー ヒーって!
下手くそな口笛みたいなんですよ。
トラツグミは夜に鳴くことが多くて、兄弟も気味悪がっていました。
僕たちの部屋はいち兄とは離れているので、その声が聞こえるとみんな怖がって布団をくっつけて眠っていました。
でも僕はその声を聴いてすぐにトラツグミだって分かりましたからね!
…別に怖くなんかないですよ?
本当に怖くないですよぉ!
もう!僕だって主君の守り刀なんですよ!
…でも、あの日の晩は。
あの日の晩は、本当に怖かったです。
いつも通りみんなが寝ようとしたときに、またトラツグミが鳴き出したんです。
「また鳴いてる」
「気味悪いよね」
「でも、なんだか寂しい声にも聞こえます」
「夜に鳴く鳥なんて、夜鷹やトラツグミだろ。ただの小鳥だぜ」
銘々がそう口にしながらも、布団をくっつけて眠りました。
僕も鯰尾兄さんの隣に潜り込んで一緒に眠りました。
みんなが寝静まった頃に、なぜか僕だけが目を覚ましたんです。
本当に急に。
頭も寝ぼけていませんでした。
朝起きるときよりスッキリしていたの覚えてます。
本当に不思議な感覚で…。
その時、また聞こえたんです!
トラツグミのあの声が!
ヒュー ヒー ヒー
その鳴き声に混じって、金属の固い音もしました。
僕はトラツグミを知っていますし、あの小鳥はとても可愛いって知っているんですけど…。
あの時間に聞いた鳴き声は、なんていうか…こう…この変がザワザワして…。
布団に潜って、鯰尾兄さんにくっついても声が聞こえるんです。
耳をふさいでも、段々と聞こえてきて…。
僕本当に怖くなって、鯰尾兄さんに抱きついたんです。
みんなはトラツグミの声が聞こえていないのか、ぐっすり眠っているのか誰も起きてこないんです。