第2章 第一話:魔法使いは、樽の中
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でも真広_______
警察が投げ出した何の手掛かりもない事件を
どうやって解決するんだ?
かと言って今さら
事件を解決する手掛かりなんて出そうもないけど……
真広、お前が求めているのもは手に入りにくくても、つまらないものだよ
たとえ手に入ったってそれは_____
お前を幸せにするものじゃない
まぁこうしている僕も
相当ダメなんだけれど
「君が不破真広君?」
「……っ!」
「……ん?ごめん、人違い。"不破真広"にしてはどうも野暮ったい。失礼、私はエヴァンジェリン山本。親しい人にはフロイライン山本と呼ばれている無職の28歳。あやしい者じゃないから」
「いやいや、まるごと全部あやしいですって」
「"不破真広"君を探してるんだけど。キミは彼とどういう関係?」
「友人です。滝川吉野、高二」
「親友?」
「付き合いだけは長いですが」
「それだけで、お墓参りまでするかな?彼の家は空き家同然だし、手掛かりがないかと一応ここまで足を伸ばしたんだけど、真広君と最近連絡は?」
「一ヶ月前にいなくなってそれきりです。メールの一つありませんね」
「本当?」
「本当」