第3章 第二話:彼女はとても綺麗だった、と少年は言った
「………僕は、この先手を貸さなくていいのか?」
「あのな、いくらオレでも彼女がいるやつをこれ以上巻き込めないぞ?」
なんで知って…………!
「彼女がいるって誰から聞いたんだか……」
「学校のどいつだかが話してたよ。二ヶ月前か、お前がデートの約束のメールをじっと見てたって」
しまった………
真広の耳に入るなんて………
「それに、お前愛花と仲悪かったろ。この先オレに付き合う義理はねぇよ」
「そうだろうな」
「そうなんだよ。……………、これ持って行け。魔具だ。黒鉄病も防げるし葉風の発動許可も出してある。防御と高速移動が可能だ。直接肌に触れて望む能力をイメージすれば魔法が発動する。止める時はそれをイメージしろ。だだし、三回使えばゴミになる」
三回限定の魔法か………
「それと、蝶がやたら舞い始めたら注意しろ。あれがあの果実が飛び出す前兆のひとつだ。果実の香りにあてられて、卵やサナギが一気に成虫になるんだ………。じゃあな、愛花を殺したやつをぶっ殺したら戻ってくる。その時、彼女も紹介しろ」
「……………、そうだな。その時はちゃんと彼女を紹介するよ」
ん?
さっきまでは雪なんか降ってなかったのに…
「それに真広、"明日"は来ないんだ。ずっと」
そう、明日は来ないんだ………