第11章 漫画みたいな恋(向坂椋)
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思った以上に仕事が早く終わって、さっさと電車に乗り天鵞絨駅に向かう。
ふと、車窓から外を覗いたら、電車の進行方向に向かって黒い雲が増えていた。
雨、降ってなきゃいいな…
なんて私の願いは虚しく、土砂降り。
もちろん傘なんて持って来ていない。
朝バタバタして、天気予報を見るのを忘れていた。
社会人なんだから、朝バタバタしてても
天気予報くらいはちゃんと見ないと!
って最近紬さんと話ししたばっかりなのになー…
今日は、濡れてもいい服だし走って帰ろう。
電車で音楽を聴いていたから、イヤホンをしまった。
邪魔になるものはないから走る準備は万全。
左京さんには怒られるだろうな、なんて思いながら走る準備をする。
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