第6章 ヤクザ時々デレ(古市左京)
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「左京さんて、監督ちゃんとどこまでいったの?」
深夜12時半。
殆どの人は明日学校、仕事だから、と言って部屋に戻ってリビングに残っているのは私を含め3人。
その言葉を発した本人はゲーム機を持ちながらカチカチ音を立ててこちらを向く気は無いみたいだ。
「……ガキには言ったってわかんねえだろ」
「はーあ?左京さん照れてんすか?」
「摂津、さっさと寝ろ」
不機嫌そうに左京さんが答えて、その声色を察したのか、万里くんはへーへーと気だるそうに立ち上がってリビングを出ていった。
「……いづみは寝ねぇのか?」
「ぅえ!?あ、そろそろ寝ようかなー?…なんて」
「っふ、なんて声出してやがる」
「だって左京さんいきなり名前で呼ぶから…」
優しい顔で髪を撫でられる。こういうの、ずるい。
今なら、メガネを取っても怒られない気がする…
好奇心に駆られた私は思わず左京さんのメガネを取った。
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