第16章 人は見かけによらない(皆木綴)
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夜、俺は聞いてしまった。
監督と綴さんが何かをしてきたのを。
最初は幽霊か何かと思って、聞き耳を立てたのが悪かった。
正直、その時の監督の声が可愛くてびっくりした。
その時、幸が寝てて良かった…
朝起きた時「ねえ、なんで身体ソワソワしてんの、きも」なんて言われたがそんな悪口も気にならないくらいだ。
監督から聞く『おはよう』も、正直あの声を
思い出してちゃんと聞けた気がしなかった。
そんな様子を察したのか、近くに綴さんが来た。
「天馬、暫く監督の近く寄るな。後、俺たちの事黙ってて」と耳にタコが出来るほどか言われた。
キョトンと監督が俺を見てきた時、俺の中の何かがざわついた。
俺は今日も、ゆっくり寝られる気がしない……
end