第16章 人は見かけによらない(皆木綴)
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「監督、これの最後なんすけど…」
そう言って次の春組第三公演の脚本を持ってきた綴くん。
脚本に、主演に大忙しの彼だが、最後はなんとかスッキリした様に変更された脚本を持ってきた。
「変えたんだね……うん、これならオッケー!綴くんも納得してるなら大丈夫だよ!」
「マジすか!…………っはーーー、良かった…」
綴くんは大きなのため息をつく。
脚本が完成してからも、終わり方が納得してなかった様で何回も相談に乗った。
よく見ると、最近は寝られてなかったのか目の下にはクマが出来ていた。
「実は昨日、シトロンさんに相談して決めたんす。最後」
「シトロンくんが?なんだか意外…」
「ははっ、そうっすよね。なんかいつものシトロンさんらしくなかったんすけど、親身になって聞いてくれて……今回シトロンさんが準主演で良かったっす」
優しく微笑む彼がなんだか愛おしく感じ
気づいたら綴くんの頭を撫でていた。
最初はびっくりしていた綴くんも、少ししたら
甘える様に私に身を預けてきた。
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